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「…っ」
その瞳は二人きりで過ごす夜にしか見れない、ぎらつきながらも愛おしさが滲み出るような目力を備えしっとりと見つめてくる。
外した手をそっと握られ初めてのように心拍数が上がる。
村上は手を繋ぐのが好きだ。いつかのコンサートでのMCで渋谷が冷やかし以外の何物でも無い煽りをされた時も一層清々しいくらいに手を差し出して来たのだ。今更二人しか居ない自室で何を恥じらうコトがあるのかと、綺麗で長い横山の指を両手で包みマッサージするように弄ぶ。
右手の親指から順に。
ふと、村上は口角を上げ横山に笑い掛けた。
「…なぁ、手にも性感帯あるってホンマかな?」
「はぁ?」
慌てて手を引こうとする横山をがっちり捕まえ、悪戯っ子の笑みで村上は横山の左隣にぴったりとくっつく。いつも自分ばかりがドッキリやサプライズに引っ掛かっているのだから、たまには横山を驚かせたい。そんな些細な出来心が村上を突き動かした。
それは果たして『吉』と出るか『凶』と出るか。
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