レッド茄子

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「ひな、ピンキーしてんねや…」 そう、なんでも無い事のようにすばるが雑誌をめくりながら声を掛けてきた。 「…ぉん。ちょっと…見付けてん」 「…そっか」 自分から聞いて来たくせに…。 ここまで気付いてくれないとは…それはそれで淋しい…。 貴方は覚えて無いかも知らんけど…初めてのプレゼントなんやで? ま、そんな風に思ってるんはオレ一人だけなんやろうけど…。 *** 『コレやるわ!』 顔を真っ赤にさせながら渡してくれた数年前を思い出す。 嬉しくて一ヶ月ぐらいずっと付けてた。 …けど。 お揃いとか期待してた訳ちゃうねんけど、それなりに期待はしてまうやんか…? すばるの薬指に輝る、オレが貰ったのとは全然違うリング。 …紛らわしい事すんなや。 なんて、言えるはずも無く 恋心と一緒に仕舞い込んだ。 せやのに…なんやねん! 安とは、お揃いのネックレス買うんか…!? まぁ、安は可愛いし、勝ち目なんて無いのは分かっとる。 せやから、ちょっとした自己満や…フリーサイズやったから、取り出して嵌めてみた。 ただ、それだけや。 掃除してたら見付けた、ただそれだけ… 物持ちの良さにウンザリする日がくるなんて 終
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