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振動を感じ大倉はジーパンの尻ポケットから、いそいそと携帯電話を取り出した。
安田と飲んでいた大倉に一通のメールが送信されてきたのだ。
「…どないしたん?」
目の前でビールジョッキを傾けながら安田が大倉に問い掛ける。
「…んー、メール…」
口許が僅かに緩んだのを見逃さず安田は睨み付け、断言した。
「ひなちゃんからやろ?」
一気に安田は目の前の男に怒りをあらわにして見せ、ジョッキを力強くテーブルにたたき付けるよう置いた。
「せやで?…何怒ってるん…」
画面から一瞬だけ目を上げて安田の表情を確認しまたすぐに戻す。
「…オレのメールには返信無いのにー、おーくらのアホッ」
頬を膨らましテーブルに俯せながら携帯を取り出しメール若しくは着信が無いかチェックするも、メルマガや迷惑メールのみ。安田は大きく溜め息を吐いた。
「…で、ひなちゃんから何てー?」
ニヤニヤとまでいかないものの、相当締まりの無い顔で大倉は画面をずっと眺めている。幸せそうな表情に段々と安田はいらつきを増やしていく。
「んー…明日ラジオよろしくな!って」
「………、ソレだけ?」
だらし無い顔をしていたのでもっとラブラブなメールかと思っていた安田は安堵の溜め息を吐いた。
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