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安田はそれ以上大倉を詮索することなく、ぶつぶつ言っていたが気にせず最後まで目を通す。
最後の締めの一言。
『ヤスに喰われんなや?』
なんて可愛い一言なんだろうかと思い大倉は声を出して笑った。そんな大倉に驚き安田が顔を向ける。
「え?ほんまに、なんなん?」
「…いや、あの人ほんまアホやなぁて」
確かに顔だけで言えば村上より安田の方が可愛いと世間では言われるが…そんなものは所詮『一般論』であって、自分が可愛い好きだと思うモノは自分だけが分かっていればいい。普段滅多にしない嫉妬を目の当たりにし、大倉は気分が良くなった。安田と飲む理由がまた一つ増えてしまったコトは残念だが。
「さーて、明日も仕事やし帰ろうか?」
返信は帰宅してからにしようと携帯を仕舞い、安田を促す。
「…なーんか、怪しい。けど、えぇわ、オレも後でひなちゃんにメールしとこっ」
先程までの不機嫌は消え上機嫌で安田は財布を取り出し店員を呼んだ。流れるような動作に思わず声をかけてみる。
「ヤスの奢り?」
「アホッ、むしろひなちゃんからの返信あったんやからお前が払えや!」
安田の理由の解らない返しを見ながら大倉も財布から数枚取り出した。
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