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「あんたは、そこの嬢ちゃんやそこで転がってる女と違って只の……、ちょっと変わった人間なんだろ?俺に勝てるってか?」
言うが早く、また風となる男。確かに先生にエルのような反射神経や動体視力は無いけど……。
先生の目の前に何かに弾かれた男。地面に背中から激しくダイブする。先生の胸の前の宙に白く輝き浮かぶ五芒星。
「てめぇ、何をのぉ!」
素早く体制を立て直そうとした男の顔が勢い良くコンクリートにめり込む。
「私が少々回復を待っている間にかなり私の三穂にかなり好き勝手やってくれたようだな」
男の頭を片腕でコンクリートごと粉砕させたエルさん。心中で無意識にさん付けをしてしまうほど、今のエルさんは私の全身に鳥肌が立つほど美しくお笑いになっていらっしゃいます。
「私だって三穂にあんな事やこんな事をしたいのに同居しながらも我慢しているのだぞ!それを貴様は!」
男の顔を持ち上げて、また固い地面に叩き付けるエル。欲求不満を発散なさっているようです。あまりグロテスクな光景な私は眼を反らします。
「エル、そこら辺にしてあげなさい」
先生もエルの狂攻に耐え兼ねたようです。
「後は僕が始末しますから」
柔和な笑みを浮かべた先生。その私の心を掴む笑顔に似合わず、先生の手にはどこから取り出したのやら、一メートルを越える両刃の大剣。それを呼び出したと言うことは、先生にとって相手が強敵の時か、先生が大層ご立腹だという事です。今回は多分、後者。そして、先生がご立腹の理由を考えると後が恐い。
「さて、それでは年貢を納めて頂きましょうか?」
エルから解放された男。既に立つ気力も無く先生の顔を拝んでいる。先生の後ろに立つ私からは、先生の表情は見えない。今だけは、大好きな先生の顔を見たくないと思ってしまいます。
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