狐と吸血鬼と神主と刑事のご関係

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「御免なさい!」 先生相手に誤魔化し切れる筈も無く、勢いを付けて頭を下げる。先生は無言が痛いです。僅かな期待を込めて視線だけを上にずらして伺い見ると、眼鏡の奥の冷たい視線とぶつかる。ちょっと涙が出て来た。 「今度、僕の言い付けを破ったら分かっていますね?」 「……はい」 実際には、言い付けを破ったら、先生が何をするのかは分からないけど返事を返しておく。先生に嫌われるのは死ぬほど恐いから。 「まぁ、今回は許しましょう。今回の相手は三穂やエルが居なければ、僕は太刀打ち出来なかったかもしれないですしね」 先生の実力からして、絶対に有り得ないお世辞と共に私の頭を優しく撫でてくれる先生。 今、先生に言いたい事があります!先生、もう本当に大好きです! 「やぁ~、仲直りしたようで良かった良かった!」 先程まで、先生のお怒りに圧されて空気となっていた春川さんが急に騒ぎ出す。クッ、二人で良い雰囲気だったのにぃ。 「よーし、事件解決祝いだ!お姉さんが皆に牛丼奢ちゃうぞ!あっ、エルちゃん、私の車のトランクに替えのワイシャツ入ってるから使って良いよ」 「このボディーをさらけ出した格好で三穂を誘おうと思っていたのだがな。まぁ、血塗れでは三穂も嫌だろうから有り難く借りるぞ」 洗脳を完了して散って行く野次馬達を背に此方に歩いて来るエル。傷口は既に塞がっているもののTシャツの前面はパックリと割れ、白い素肌が露出している。この場で唯一男性である先生の眼に毒です。とっとと服を着なさい。と、心中で罵っていたら、エルが私の身体を急にホールドします。
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