狐と吸血鬼と神主と刑事のご関係

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私の目の前に爛々と輝く赤い瞳と妖艶に煌めく赤い唇。 「三穂、今日、私はお前の為にかなり重労働をしたとは思わんか?適度な報酬を貰えるだけの権利は充分にあると思うぞ」 背筋に嫌な感覚が走る。今のエルは大変危険だと。 「あ~と、私たちはお邪魔のようだから、先に行ってようか?」 「エル、あまり酷いことをしてはいけませんよ?」 春川さんと先生が、歩き出してしまう。 「フフッ、これで二人きりだな?あまり強引な事はしたくないが、今日ぐらいは良いだろ?」 無駄に暴れる私。エルの力に敵う訳も無く、無常にも迫って来るエルの唇。 乙女の絶体絶命に、あまりやりたくは無い最終手段。ペットボトルから口から炭酸の抜けたような小気味の良い音と共にエルの腕からすり抜けた私。 「なぁっ!戻るのはずるいぞ!」 そんなエルの声を聞き流しながら、地面に華麗に着地、四足歩行で駆けて先生の背中を追う。 「それはつまり、私を捕まえてごらんと言うやつだな?そうなんだな?」 そんな事を喚きながら追ってくる鬼、ならぬ吸血鬼。絶対に捕まりません。 この鬼ごっこは、先生の肩に飛び乗る事で私は勝った。 でも、週明けに登校して、半裸の金髪美人が真夜中に狐を追い掛ける、という真しやかに広がった都市伝説を友人から聞いた時は、穴が合ったら入りたかった。
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