狐と吸血鬼と神主と刑事のご関係

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頭の上で不快な音で騒いでいる物体。分かってる。彼は職務をまっとうしているのだ。私の夢を終わらせ、暖かい布団から出させる事が彼の仕事。過重労働させては可哀想だ。そろそろ止めないと……。 まだ寝惚けた頭で布団から腕を延ばす私。目覚まし時計の頭を叩く。同時に、私の手の甲は叩かれた。 軽い痛みと共に、私の胸元辺りに存在する物体に気付く。私の手を目覚まし時計のスイッチと間違えて叩いた手はスルスルと私の布団の中へと戻って行く。 代わりにスルスルと布団の中から出てくる柔らかい金色の髪に包まれた頭。 「おはよう、三穂。しかし、今日は土曜日だぞ。少し早すぎでは無いか?休日ぐらいは昼までゆっくり寝よう」 白い肌に半開きの赤い眼。赤く小さく整った唇を動かし、軽い欠伸を漏らしながら、そんな事をのたまう。 「おはよう。エル。私は先生の朝食を用意しなくちゃいけないから、取り敢えず離れて」 毎度の事ながら、人の布団に無断で入り込むこの女に、寝覚めを害されて機嫌の悪い私。そんな私とは対象に、気持ち良さそうに私の首元に、顔を埋めるエル。無駄に桃色な吐息がかかってくるんですけど。 「私が許す。あんな本の虫の朝食を用意する必要は無い。もう少しだけ、三穂の温もりを堪能させてくれ」 そんなふざけたエルの甘ったるい懇願なんかよりも、先生の為に朝食を作る事の方が重要な私は、勢い良くエルと布団をはね除けて起き上がる。エルの残念そうな悲鳴など気になどしない。
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