狐と吸血鬼と神主と刑事のご関係

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「ところで、三穂。私は、寝室にニンニクを飾るのはあまり良い趣味では無いと思うぞ。まぁ、三穂がどうしてもと言うのならば、私は一向に構わないがな?」 箸を動かし始めた私に、私がニンニクを部屋に飾らざるを得ない状況を作りだした張本人が、ニヤニヤと私の顔を眺めている。 「私の種族で有名なドラキュラ伯爵はニンニクの臭いが嫌いだったらしいが、別にバンパイア全てがニンニクが嫌いと言う訳では無い。まぁ、私も好きな方では無いがな」 日中に縁側でひなたぼっこをしてるぐらい日光もオッケイ。銀も特に恐がらない。十字架も利かない。今、目の前でお味噌汁を煤っている吸血鬼の弱点は無いのだろうか。 「先生、吸血鬼の弱点って他に有りませんか?」 こういう事は先生に聞くに限る。 「う~ん、僕は西洋の妖怪にはあまり詳しく無いですからねぇ。吸血鬼は心臓に杭を打てば、倒せるらしいですよ?吸血鬼じゃなくても、心臓に杭なんて打ったら大抵の妖怪は死んでしまうと思いますけど」 色良く無いお返事が返って来ました。さすがにエルを殺す気は無い。夜中に私の部屋へ来ないようにしたいだけだ。 「三穂はそんな事を知らなくとも大丈夫だ。もし、私以外のバンパイアに襲われたら、私がそいつを八つ裂きにしてやる」 私としては、他の見知らぬバンパイアよりも、今私の目の前に居るバンパイアをどうにかしたいのですが……。 それに私には、先生という私を守ってくれる素敵な人が居る。いざというときは、エルの出る幕ではない。 そう考えながら先生の顔を窺う。エル曰く平凡顔の優男。確かに、世間で言うイケメンと言う感じでは無く、何処にでも居そうな顔にも思える。それでも、私はこの人の顔をゆっくり眺められる時、私は至福を感じるのだ。 「お~い、渡部~!邪魔するよ~!」 先生と私の幸せの時間は、無断で玄関をくぐる女性の不粋な大声に邪魔される。どうせいつも通りに厄介事を持ってやって来たのだろう。
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