妖怪の妖怪による妖怪のための世界

狐と吸血鬼と神主と刑事のご関係

先生の小学校の頃からの幼馴染みという羨ましく許されざる経歴を持つ女性。

その端整に整った顔に長い黒髪は、今着こなしているスーツ姿もバリバリのキャリアウーマンと言わんばかりに似合っているが、和服美人にも化けられそうだ。

もっとも、畳の上に堂々と胡座を組んでいる事から分かるように、その性格は清楚な乙女とはかけ離れたもの。先生が優し過ぎるのを良いことに時間帯も考えず訪ねて来る礼を欠く人。

「あっ、三穂ちゃん、コーヒーでお願い。私、今朝、二時に叩き起こされて眠いから」

一応は客人な女性を放って置いて朝食を食べ続けるのは失礼と、お茶でも出してあげようと箸を置き、無言で立ち上がる心優しき私にかかる不躾な注文。温厚な私もこれには流石に眉をしかめる。

「あっ、三穂。僕にもコーヒーをお願いします」

はーい、先生の為なら、コーヒーの一杯や二杯、いつでも淹れてあげますよ。

「それで春川さん。今日はどうされたんですか？」

女性が私の淹れたコーヒーを味わう気も無く一気に飲み干すのを待ってから話を切り出す先生。