醜い子、寂しい。

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「こんばんは、直。」 僕の呼びかけに答えるように、綺麗なお姉さんはあらわれた。 とっても綺麗。 お母さんたちより、ずっと綺麗。 お姉さんは開けられた窓に座っていた。 ここは誰も来ない、僕の部屋。 何でお姉さんはいるの?お姉さんは誰? 「お姉さん、だぁれ?」 僕はお姉さんに聞いた。 「私は、天使。日守。あなたの、迎え、来たの。」 お姉さんは言った。 迎え。そっか、僕、死ぬんだ。 「……落ち着いてる。怖く、ない?直の歳で、死ぬ子、みんな、泣きじゃくる。」 不思議そうにお姉さんは聞いてきた。 僕、死ぬの怖いのかな?───ううん、怖くない。 生きていても、実感がないもん。死んでも同じだよ。 「怖くない、よ。」 僕はお姉さんに言う。 お姉さんはそれに、そう…とだけつぶやいた。 お姉さんはふと立ち上がり、僕に近づこうとした。 「来ないで!!僕、醜いから!!見ちゃダメ!!!」 僕はお姉さんに叫んでいた。 お姉さんは驚き、動きを止めている。 気まずい空気。 息がつまりそうなほど、気まずい空気が流れてる。 う゛う゛~…どうしよう? 「ねぇ、知ってる?魂ってね、天に、還るとき、綺麗に、輝くの。誰の、魂でも、とても、綺麗に。」 お姉さんが言った。 急に喋り出すからおどろいたけど。 心を惹かれる内容だった。 「僕も、僕も綺麗に輝けるの?」 醜い僕でも、輝けるのかな?
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