醜い子、寂しい。

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「輝ける、よ。魂は、全部。輝く。直も、綺麗に、輝ける。」 お姉さんの言葉がどんなに僕を嬉しくさせたか。 僕以外には分からないだろうけど。 僕はとっても嬉しかったんだ。 醜い僕でも、綺麗に輝けるって知って。 「ねぇ。まだ、時間、ある。お話、してあげる。」 お姉さんが言った。 そして、お姉さんは言った通りに、いろんなことを話してくれた。 お姉さんのお仕事のこととか、僕の知らないことをいっぱい教えてくれた。 お姉さんの話は面白くて、たまらなかった。お姉さんの話を聞くのは楽しかった。 「───直、笑ってる顔、可愛いよ?」 ふとお姉さんが言った。 僕はえ?と顔をあげる。 「醜くなんか、ない。可愛い。私が、いう。だから、正しい。直、醜くない。」 お姉さんは言った。 僕は何だか嬉しくなって、涙がポロポロ出てきた。 「笑顔は、誰でも、輝いてる。綺麗。…今度、生まれたとき、いっぱい、いっぱい、笑おう?」 優しい声でお姉さんはいう。 僕はそれに泣きながらうなずいた。 「もう、時間。行こう。」 その、お姉さんの言葉とともに、僕は 死んだ。 そして、天に還り、お姉さんの言った通りに輝いた。 輝けたと思う。 お姉さんが、綺麗に輝けるって言ったから。 次、生まれてくるときは醜くても美しくても、笑って生きよう。 どんな姿でも、笑っていれば、綺麗に輝けるから。  
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