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頭がクラクラする。
足元が揺れているように感じる。
強い力を持った異思が今、目の前にいるんだ。
なのに。
倒れそう。
倒れたら、俺の命が危ない。
俺だけじゃなく、パートナーの日守だって危険にさらされるはず。
悪魔の俺は、異思を倒さなきゃいけないんだ。
なのに、なのに。
情けない。体は思うように動かず、地面に倒れて───…
痛くない?倒れたはずなのに、衝撃がない。
倒れた俺に異思が容赦なく攻撃してきたはずなのに。
「馬鹿、弱い。異思、倒す、月騎の、仕事。倒せ、よ。」
冷たい、感情のこもらない声が聞こえた。
声は倒れた俺を支えている。
「日、守………。」
日守は俺を支え、異思の攻撃を結界をはってガードしていた。
悪魔と天使は持っている力は同じだ。
男が悪魔で、女が天使と呼ばれる。ただそれだけ。
力に差も糞もない。
どちらも呪文を唱え発動させる《術》か、1人1人が持つと言われる《武器》かのどちらを使い戦う。
ただ、武器はみんなが自分の中にあると言われているが、使えると使えないものがいる。
使えるものは天才と呼ばれて、使えないものはただの凡人。
俺は使うことができない。
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