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一方、ぬりかべとの対決の現場をどんどん離れていく光一。第二校舎を抜け、本校舎に差し掛かっていた。
1歩が10歩。10歩が100歩にも感じている。
顔には焦りと不安が混ざりあった表情。警備室の隣の入口から外へと出る。
いつもならガラス窓から中を軽く覗くのだが、今日はしない。そんな余裕がないから。
ドアを開け薄暗い中庭を一気に駈けていく。
短大校舎を左手に、アスファルト道をどんどん走っていく。
光一の前に広がる学食が徐々に大きくなり、やがて光一の目に例の警備員の姿が捉えられる。
(もう少し!お願い!間に合って~!)
祈りながら走る光一は、やっとのことで学食の前に着いた。
二人の警備員が敬礼をしながら光一に言葉をかける。
『お疲れ様です!』
『お疲れ様です!先ほど、真野様の前に男性と女性のお二方が入られました。真野様のお知り……』
『あっ!すみません!今はお話している余裕がないんです。通していただけませんか!?』
『それは申し訳ございませんでした。どうぞお通り下さいませ』
年輩の警備員がドアを開け、光一を誘導する。
光一はお礼もそこそこに、刈屋達がいるであろう中に入った。外より薄暗い空間が視界を見えずらくする。
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