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不思議と痛みはなかった。
いや、もう痛いのを越しているのかもしれない。
顔が上がると肺に空気を送り込む。
バシャン、水音が立つと共に顔がコンクリートに落ちる。
そんなことを何度も繰り返された。
もう、何も考えられないくらいに頭が真っ白になって
いつしか、気を失っていた。
ゴソゴソ布を擦る音が室内に響いた。
ふと目を覚まして、目の前の男に声をあげそうになった。ハッと口を手で押さえ込む。
隣で眠っている男を起こさないよう、そっと上半身を起こす。
するり、被っていた毛布がずり下がる。
妙に涼しいと思い、視線を落とすと自分が裸であることが分かった。
不意に思い出した。
ゆっくり顔に触れてみるが、腫れているカ所も傷口っぽい感触もない。
一旦手を放して見てみるものの血もついていない。
そういえば痛みも感じない。
隣で枕を抱いて涎を垂らしながら眠り続けているだらしない男の横顔を眺め、何となく毛布を捲ってみる。
「…ッ///」
ばっとすぐ元通りに…。
シ―ツが濡れている。
どういうことだ。
う―っと唸っていたら隣の男が起き上がり、背伸びをしだした。
「ん―…?桜井、もう起きてたの?」
「…じぇん…」
「ん?どったの?」
目の前が、視界がぼやけ始めた。
頬に伝うのは何だろうか。
俺の顔を見てじぇんは目を見開いて焦っていた。
「桜井?ちょ、泣かないでよ~」
ああ、これは涙だったのか。どうりでしょっぱい訳だ。
「…じぇん…ごめんね…」
「え?なんで謝るの~?」
じぇんの腰に巻き付くように抱き付いた。
そしたらとんとん優しく背中を叩いてくれた。
(君を闇にしてごめんね)
(怖い夢を、見たんだ)
終わり。
意味わからんぜははは。
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