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ガターン。
鉄同士がぶつかる鈍い音がした。
パイプ椅子を蹴ったのは桜井だった。
ズボンの穴に両手を埋め込んでいて、顔に反省の色は無し。
黒棲んだ目を鈴木に向けている。
「さ、桜井?」
ロングの髪を掻き上げると今度はゴミ箱を蹴り倒しこの場を出ようとしていた桜井。
だがとうとう眉を寄せた鈴木がその足を止めた。
手首を掴んだのだ。
「…離せよ」
「なんだよ?なんで、そんな機嫌悪いの?」
「お前に関係ねぇだろ!」
最近の桜井は荒れている。
歌詞にもその荒れた部分がよく出ている。
それにあんなに爽やかだったあいつがまるで二重人格みたいに今に至っている。
俺にはよく分からないけど、こんなの桜井じゃないよ。
「…そんなこと言うなよ。な?さくちゃん~。何かあったんならJENに話して」
「……お前に話したって、どうにもならない。何にもできないくせに調子乗ってんなよ」
手首が振り払われ、桜井は楽屋から出て行った。
「…」
バタン、閉じられた扉にもたれ掛かると頬を伝う何かを両手で拭い出す。
「…田原とばっかり話す…お前が悪いんだ…」
ふ、と突然透き間風が背中を撫でた。
そして今度は温もりを感じた。
耳に吹き掛かる息が酒臭い。
首に巻かれている腕は毛深くて汚い。
だけど、ものすごく欲しかったもの。
「…聞こえた」
「…っふ…う」
「桜井?」
「……なに」
「俺は桜井が好きなのよ」
「………え?」
「ふふーん、知らなかった?」
(だってずっと君だけを見ていたんだから)
「ごめんね…じぇん…」
(俺も大好き)
終わり。
わけわかめ。wryyyyy!!!
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