0.1‐屋上

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屋上から一望できる空。 それを見上げていると、何故か俺の荒んだ心が癒された。 だから学校の屋上は、ここ最近 俺のお気に入りの場所だったりする。 本当は今の時間、授業中なのだが、俺はクラスには顔を出さず朝一から此処に居た。 フェンスに寄り掛かり、ただ一人ぼーっと空を見上げる。雲の緩やかな流れを見つめながら、太陽の眩しさに右目を細めた。 「…っ、痛ェ…」 その時、二日前に喧嘩をして出来た左目の傷が疼いた。 俺はこんな怪我、ほっとけば治ると思っていたので治療するつもりなんか毛頭なかった。 なのに、何かと世話を焼く担任に怪我の事がバレてしまい、仕方なく病院に連行されてしまったのだ。 その時 施された眼帯が俺の左目を覆ってはいるが、傷は思いのほか深かったようで、こうしたフとした瞬間に痛むから厄介だったりする。
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