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「…邪魔臭ェ」
ぽつりと愚痴を漏らした。
が、そうしたところで何かが変わる訳でもない。
はァ…と溜め息を吐き出し、肩を落とした俺は、憂鬱な気分を誤魔かすかのように、もう一度空を見上げる事にした。
その時。
授業中にも関わらず、バンッ!と派手に、屋上の扉を開ける音が耳に届いた。
怪訝に思った俺は振り返る。するとそこには、俺の苦手な奴――白萩優斗が立っているではないか。
「高杉君、探したよ」
声が掛けられる。
だが、コイツの相手をするつもりが無かったので俺はそれを無視した。
にも関わらず、相手は気にすることもなく話を続けてくる。
「先生が呼んでるから。教室に来てくれない?」
「………」
「五十嵐先生が、待ってるんだ」
その言葉にチラリと視線を向ける。俺は、眼帯で覆われていない方の右目で相手を捉えると、上から下まで白萩の事を観察した。
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