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「五十嵐は何の用だって?」
行かなければならないのか・というニュアンスを含ませ、問い掛けてみた。その事に白萩が気付いたのか、気付かなかったのか俺には分からい。
だが、奴はクイっと眼鏡を指であげると「オレも詳しくは知らないから」と云った。
あー、行きたくねェ。
そんな俺の脳裏に一瞬、悪魔が顔を出す。五十嵐からの呼び出しをこのまま無視してやろうか・という考えが過ぎったのだ。
ほんの一瞬だけ。
だが次の瞬間には頭を左右に振り、慌ててその考えを打ち消した。
いや、無理だ。
奴からの呼び出しを無視するなんて……とてもじゃねェが、そんな真似出来ねェ。
もっと面倒臭いことになっちまう気がする。
国語担当の五十嵐は、生徒にも保護者にも人気があった。“紳士で、気品溢れている”とか何とか囁かれており、とくに女は奴にメロメロだ。
陰ではファンクラブまである。
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