0.1‐屋上

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もし、もしもだ。 そんなアイドル的な存在からの呼び出しを、無視なんかしたら一体どうなるか。 …恐らく、ファンクラブの女共が黙っていないだろう。普段は俺にビビってる癖に、そういう時になると何故か女は強いから厄介なのだ。 「……」 散々文句を言われ、責められている自分を想像する。それだけで、酷く憂鬱な気分になった。 俺はそんな憂鬱な気分を誤魔かすように、左手で乱暴に頭をガシガシと掻くと、本日二度目の溜め息を吐き出していた。 …仕方ねェ。 行くしかねェか。 何も言わず歩き出す。 目的地は勿論、五十嵐の待つ教室だ。 「どこ行くの?」 「あ? 教室だよ、教室」
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