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「嗣生はね、人間じゃないんだ」
耳朶に唇が触れんばかりに近づき、囁いた。
「ああ見えて人狼なのさ」
あまりにも突飛な発言に耳を疑った。
得体の知れない男に対する恐怖心を抑え込んで、視線をあげる。
男は、真面目な表情で此方を覗き込んでいた。
俺より少しだけ背が高い。
全く、気に障る。
高校になって急激に背が伸びたお陰で、最近、ヒトから見下ろされる事がない。
なのに、コイツには見下ろされるのか。
それより、何て?
ジンロウ?
「知らないのか?狼男って言えばわかる?」
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