邂逅

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邂逅

                  発車を知らせるブザーがホームに鳴り響いている。 僕は一段抜かしで階段を駆け上がっていく。 この電車を逃したら確実に遅刻だ。 息せき切って、ホームに滑り込んだ途端、ブザーが止んだ。 (間に合わない) 閉じるドアに飛び込んだ瞬間、脇腹に衝撃が走る。 信じられない事に見事に(へそ)のあたりでドアに挟まれていた。 (この侭電車が走りだしたら…) 助けを求めようと慌てて周囲を見回すと、向かい側のドアに寄りかかって立つ男と目が合った。 その風貌が際立って人目を惹いたせいだ。  
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