107人が本棚に入れています
本棚に追加
どうした事か、予期していた床がいつまでたっても顔に近付いてこない。
恐る恐る瞼を開けると、目の前はスーツの胸元で塞がれていた。
男が信じられない素早さで、僕の胴を支えていたのだ。
「オレは何時までこうしてればいい?」
僕の体はくるりと抱き起こされて、気づけば眼前に 眉をきゅっとあげた悪戯っぽい顔をした男が見つめている。
「も、もう、大丈夫です」
男の分厚い胸を掌でゆっくりと押し戻し、体勢を立て直す。
ようやく自分の足で確り立つ事ができた僕は、安堵の溜息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!