追いかけっこは突然に

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「(やられた…ッ!!わざわざ拘束までするということはコイツの目的は生け捕りか!?)」 「別にさ、生け捕りじゃなくても良いって言ってたし、抵抗されると厄介だからなあ」 何かを考えるかのように腕を組み首を傾げ、導き出した結果は 「死ぬかどうかはテメぇの力量次第だ。まあ頑張って生き延びるんだな!魔術師さん」 「ッ!!」 ローマ正教の魔術師の喉が干上がった あり得ない コイツは普通じゃない。 「(霊装ごと殺られる…何か突破口は無いのかッ!!)」 「散るときは華々しく散るが良いさ。胸を張ると良い。今からテメぇに使うのは悪竜をも殺しちまうような教皇クラスの一撃だ」 「(逃げ出す方法は…ッ!!)」 ローマの魔術師が思考を巡らせる間にも桜井は黙々と術式を組み上げていく。 目の前の魔術師を確実に倒す為に 「構築するのは7色の光。」 「(……この拘束術式を逆算して自力で解除するしか無いッ!!)」 「色は赤、その役は悪竜の筋肉を斬るために。」 「(…基本は十字教に則ったもの)」 「色は青、その役は悪竜の脂肪を切り取るため。」 「(だがそこからの派生の仕方がオリジナルすぎてわからない!!)」 「色は緑、その役は悪竜の鱗をめくるため。」 「(どうする…)」 「色は黄、その役は悪竜の内臓を取り出すため。」 「(あの霊装を盾にするか?)」 「色は紫、その役は悪竜の骨格を切断するため。」 「(いや、交渉材料は失いたくない─ッ!!)」 「色は桜、その役は悪竜の歯牙を抜くため。」 「(やっぱりこの術式を自力で解除するしかないッ!!)」 「色は白、悪竜の神経を抉り出すため。」 「(間に合え…)」 「顕現せよ!」 「(間に合えッ!!)」 「悪竜殺しの7色の光の矢!」 「間に合えぇぇぇぇえッ!!」 「スターボウブレイクッ!!」 2つの絶叫と同時に ゴッ!! と 破壊の一撃が放たれた。
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