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暮れなずむ小さな公園
人ひとり居ない寂しいこの公園の、碧い苔が浮かぶ、古びた木製のベンチに腰掛けた。
「母さんに帰らないかも?なんて、言うんじゃなかった‥」
鮮やかな彼女
表裏がなくて、サッパリした性格で
彼と付き合ってても、僕に別段、隠してはなかったと思う。
けど、疎くて無神経な僕は、彼の存在に今日まで気付かなかった。
そんなトコも、僕に対して愛想が尽きた原因かと、今更ながら思った。
あんなモテ体質な彼女に、
何故、僕はハラハラしなかったんだろう?
ただただ漠然と不安になるだけで、彼女の気を引いたりしなかった。
愛情の確認作業もしなかった。
彼女にとって僕は、部屋飼いの小型犬ってトコだったのかな。
人間にも見てくれなかった憐れなペットな僕。
僕はご主人様の言いなりになって、尻尾を振って小さく怯えながら吠えるんだ
「にゃーん‥」
ん?
そこ、わん!デショウ?
って!
「お前も棄てられたのかい?」
小さな三毛猫が、僕を慰めるように擦り寄ってきた。
膝に乗せて腕で囲んでやると、暖かそうに眼を細めて丸まった子猫。
小さな命が僕を必要としてくれたようで、迷うことなく飼うことを決めた。
そうだ
ペットショップに寄って行こう!
家に帰るイイ言い訳も出来たし。ね?
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