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 僕と彼女と出会ったのは、僕が高校に入学して暫くしてから。 当時から文科系だった僕は、何と無く入った写真部で、コンクールに出す為の被写体を探していた。 専門校舎 保健室 屋上 花壇や花を付けた木々 部活動で賑やかな校庭 どれも魅力的な被写体は無くて、最後の頼みの綱、体育館に向かう途中だった。 校舎と体育館を繋ぐ、渡り廊下から見えたんだ。 男子が女子に告白してた。 女子は肩を竦めて俯いていて、そんな姿が女の子らしくて初々しくて‥ 気付けば僕は、その青春の一頁をフレームに閉じ込めていた。   カシャリ… 驚いて振り返った男子と、顔を上げた女子。 「‥た、助けて‥!!」 女子の震える叫び声と、夕映えに異様に輝く凶器の切っ先。 シンとした場に響いたシャッター音 僕の震える指が、シャッターボタンを押してしまったんだ! 「てめぇっ! 何してやがるっ!」 凶器を持ったまま 男子が駆け寄って来た。  
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