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僕はガタガタと震えるしか出来なくて、 デジカメのシャッターボタンの上に置かれたままの指は、震えるその度にシャッターを押し続けて‥ 「いい度胸してんじゃんかよぉっ! え"え"っ!!!?」 僕に向かってきた男子が、凶器を振りかぶって銀の煌めきの半円を描いたのを 僕の見開いた眼はハッキリと捉えて、‐もうダメだ!‐って思った。 けど‥ 「コラッ!!!! っ! の、馬鹿野郎っ!!」 イヤに鈍い、 例えば、 人肌が損傷を受けるような、 皮膚に収まった骨が損傷を受けるような音がして直ぐ、 カランと軽く澄んだ音がした。  カシャ! 僕は、部活の顧問の先生と男子を眼に捉えながら、 情けなく震えた指がシャッターボタンを押したのを感じて その場に尻餅を着いてしまった。 先生の目撃も有ったが、僕の写真が動かぬ証拠になり、男子が退学したって聞いたのは、 見掛けだけ、初々しく見える ‐告白‐とタイトルが付いた僕の写真が、コンクールで入賞した時だった。  
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