856人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女と付き合ってても、
僕は何時でも、諦めの境地が何処かに有ったんだ。
僕はバリバリ文科系の、冴えない男で。
文化祭では、めっちゃ裏方で活躍しても、最終的には印象に残ってない地味男で。
彼女が言うには、ブランドに疎い割に、本物を見抜くカンだけは鋭いとか。
そうね、ファッションとかインテリアのコーディネーターをやるといいわ。
と、彼女は言ってたので、将来はソッチの方向へ進もうと考えてる。
ほらね。
僕には自分の意見が無いんだ。
彼女の言葉に舞い上がって、言われるままに成っていた。
彼女に似合うような、大人でも華やかでも無い僕。
‥‥意気地無しだしね。
せめて
男らしい体躯と顔を持ち合わせてれば‥
なんて思ったけど、
ネガティブなのは彼女が嫌うから
僻(ヒガ)むのだけはしなかった。
僕ね、少し疲れてたんだよ。
正直言うと、ホッとした。
もう背伸びしなくても
もう我慢しなくても
もう不安に付き纏われなくなって、って‥
だから
敵前逃亡したんだ!
我慢の限界を迎えた僕が、
言葉で彼女を傷付ける前で
良かったって、安心したんだ
最初のコメントを投稿しよう!