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「あれ、お前、健太?」
「あ、吉永先輩!」
椅子に座った俺を押さえつけていた加藤の所に、部員らしき男子生徒が近付いて来た。どうやら、二人は知り合いらしい。
俺を押さえていなくても、殴りかかることなんてないよ。言いたかったが、俺の口は言うことを聞いてはくれなかった。
「どうしたんだよ、お前の友達」
加藤の知り合いは、俺の方をチラチラ見ながら小声で話している。
「俺もわかんないんです。とにかく、部活紹介の途中までは普通で。それが、合唱部を見た途端、何かブツブツ怒り出して。それから、一切口聞かないし」
「ようは、お前もよくわかってないんだ」
加藤が弱々しく頷いた。
先輩は、化け物でも見るような目でこちらを窺っている。
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