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その日の放課後、加藤はクラスの用事で担任に呼ばれていると言う。 掃除当番もなかった俺に、 「じゃあな」 と声をかけて職員室へ出掛けて行った。 一日、加藤の様子はいつもと変わらなかった。いつ文句を言われるか、殴られるかとヒヤヒヤしていたが、そんなこともなく終わった。 拍子抜けしてしまったが、俺の心は揺れたままだ。 加藤に対しても、また、彼女に関しても。 いずれにせよ、以前のような関係に戻ることはできないだろう。 そんな気持ちのまま、次の日も登校すると、朝のホームルーム終わりで声をかけられた。 「笠井くん、今日、放課後教室に残ってくれる?」 担任に言われ、クラスメイトが帰って行く教室に一人残される。 しばらく待たされた後、担任が見たことのない男子生徒を一人連れてやって来た。 「待たせたわね、笠井くん。こちら、田中くん、合唱部の副部長さんよ」 戸惑いながら、俺が頭を下げた時、再び教室のドアがガラッと開いた。 入り口に目をやると、入って来たのは、加藤であった。 「よ!久しぶり。ホームルームぶりだな」 加藤がおどけた声で言った。 何かありそうな気がする。 自分の席に座った俺の隣に加藤。二人の前に、森田先生と副部長が座った。 まるで、保護者面談のようだ。先生役が一人多いけどね。 「早速だけど、笠井くん。私も田中くんもよく知らないし、加藤くんも他の部員たちもあんまり詳しく話してはくれないんだけど、合唱部の部長の本郷さんと一悶着あったらしいわね」 言われて、思わず下を向く俺。 「責めてるわけじゃないの。ただ、彼女は大事な私の生徒の一人よ」 充分、責めてるじゃん、と心の中で呟く。
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