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初めての父親のレッスンが終わった後、俺は父親の運転する車に同乗して帰ろうと、一緒に学校を出た。
森田先生と田中先輩が、駐車場まで見送りに来てくれる。
「先生、ありがとうございます。実際のところ、うちの部はどうですか?」
おずおずと尋ねる森田先生に、父親は言った。
「いや、いいと思うよ。1年生はともかく、2、3年は音程がしっかりしてるね。変なクセがついてない分、やりやすいよ。まあ、3か月でどこまでやれるかはわからないけど」
車のドアに手をかけた父親に、
「ありがとうございます。またお願いします」
と、頭を下げた時、父親が何かを思い出したように振り返った。
「普段、森田さんがいない時は誰が発声見てるの?」
「部長の本郷さんです」
田中先輩が答えた。途端に父親の顔が曇る。
「彼女、音楽センスはいいものを持ってるんだけどねぇ。まあ、そのおかげで音程が安定してるのかもしれないけど。この先も彼女にやらせるのはどうかと思うね。彼女は、もっと皆の中に入ってやる必要がある。他にはどう?田中は」
言われて田中さんは首を横に振る。
「僕はピアノ、ダメなんで」
「そっか、じゃあ、俊太、お前やれ」
いきなり言われ、俺は、驚いた。
「えー?俺、1年だよ。無理だよ!」
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