前向きな失恋

６

月曜の昼休みになると、田中先輩がやってきて、俺を慰めてくれた。

「気持ちはわかるけど、他に適任者はいないしさあ」

「先生の息子で、実力があることは皆わかってるから、文句言う奴なんていないよ。もし、そんな奴がいたら、俺が黙らせるよ」

俺を安心させる数々の言葉。
その真面目な表情に、俺はやはり、頷くしかない。
そして、最後にこう言った。

「本郷にも話ついてるから。お前がやるってこと、了承してる」

またもや田中さんの口から出てきた彼女の名前。
こんなに親切で優しくて、部活熱心な田中さんにまで余計な心配をかけてしまうなんて、やっぱり俺のやったことは、まずかったんだろうな。
後先のことも考えずにやってしまった、あまりにも稚拙で、幼稚な行為。

よく考えて行動しましょう。

小学生の時に習ったことの大事さが今になって身にしみる。
まあ、もう手遅れなんだけどさ。