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少しの期待もしていなかったかと言えば、嘘になる。 だけど、必ず会えるという保証はない。 もし会えたとしても、その近くに行くことはできるとは限らない。 以前のように、隣で歌えないかもしれない。 それでも構わないさ。 一縷の望みをかけて…。 俺は、彼女と同じ東山高校に入学した。 真実を言えば、そこに深い理由はなく、東山に合格できるだけの成績があったから。 それだけのこと。 彼女と最後に会ってから、約2年。その間、俺も人並みに恋愛経験を積んだ。 無論、彼女も同様、いやそれ以上の経験をしたことだろう。外見や性格を考慮しても、彼女がもてることは想像に難くない。 同じ中学から、東山高校に進学した奴はいない。知り合いのいない新しい高校生活には、多少の不安がある。言ってみれば、唯一の知り合いである彼女は僅ながらも、俺の心の拠となっていた。 また会えたらいいな。 そんな軽い気持ち。
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