1#プロローグ:キィオというカラス

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 早朝の生ゴミ置き場、ハシブトガラスの一団が朝飯にありついていた。  その一団にごく普通のハシブトガラス、キィオがいた。  キィオはゴミ袋を嘴で突っつき破って中の生ゴミを取り出す係だ。キィオの嘴は、「飛んでいるゴム風船を通算1000個も割ってきた!」と豪語する位に研ぎ澄まされていた。  キィオがゴミ袋破き係に抜擢されたのは、その“風船割り好き”の経験からだった。  いつものように、キィオはゴミ袋をツンツンと突っ付き穴を開け、脚の爪でビリビリッと破くと、人間の食べた残りや粕の美味しそうな匂いが立ち込めた。  だいぶお腹が空いていたキィオは居ても立っても居られなくなり、ゴミ袋の生ゴミに食らいつくと、後ろで  「ゴルァ!!雑魚は先に食うんじゃねぇ!」  群れのリーダーカラスに激しく怒鳴られた。更に激しく嘴でつつかれたから、キィオは仰天した。  「またやってしまった・・・まいいか!」  キィオはゴミ袋破き係に抜擢されても雑魚扱いだ。でもどってこと無かった。ここに食い物があるし、他のカラスも自分を慕ってくれる(と思い込んでいる)。何もかもが自分のためにあるようで、楽しかった。  そう・・・あの日がなければ・・・
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