3#逃避行

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 カラスのキィオは血まみれの体で、名をトゥラというリーダーカラスの執拗な追撃から逃げた。  体中が痛い!でもこの羽ばたきを止めたらもう命は無い。  凄いスピードで通り過ぎるビルや街をかいくぐり、いつの間にか河原に出ていた。ビル街を盾にしながら飛んでいたキィオは、もう隠れる場所はない。  既にリーダーカラスはキィオの尾羽を嘴で掴む程に迫っていた。  キィオはビルの隙間から隙間へかいぐぐり、撒こうにもリーダーカラスはまだ執拗に向かってくる。  キィオは前を見た。  ああっ!!電線が目の前に!!ぶつかる!!  間一髪!ジョイは羽根をすぼめて何とかすり抜けた。  ほっと一安心した。  キィオは後ろを振り向いた。血が引いた。  まだリーダーカラスはまだいたのだ!これじゃどこで羽根を休めばいいんだ!カラスのジョイの羽根を羽ばたくのに疲れが出てきた。  休みたい・・・休みたい・・・もう限界だ・・・!でも羽ばたくのを止めたら後ろのリーダーカラスに殺られる!!困った・・・!!  ジョイはリーダーカラスを何とか捲く手段を探していた。 目に映ったのが雑木林だった。キィオは雑木林に突っ込んで行った。  「何だ何だ!」  雑木林のカラス達だけでなく、他の野鳥も大騒ぎした。  木々の枝えだを猛スピードですり抜けるキィオ、それを追いかけるリーダーカラスもまた巧みに枝えだをすり抜ける。  しまった!カラスのキィオが大きな枝にぶつかりそうになった瞬間の急ブレーキが災いした。リーダーカラスに捕まってしまった。  ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!  二羽のカラスの大格闘が始まった。  鋭い嘴や脚の爪でお互い攻撃し、全身血まみれになった。  この激しい攻撃を野鳥達は見つめていたが、キィオの攻撃が交わされた瞬間に他の野鳥に当たった瞬間に全体がパニックになった。  ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!ぎゃあ!  この騒ぎの隙をみて何とかリーダーカラスの攻撃からすり抜けた血まみれのカラスのキィオは何とか逃げのびた。  「痛い・・・体が痛い・・・もう駄目だ・・・休みたい・・・もう追いかけて来ないかな・・・どこか休むところは・・・」  と、見渡したキィオは後ろを見たとたん背筋が凍った。
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