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少し外れているような気もしたけど、それがストライクかボールか見分けがつかないのでとりあえずバットを振ってみた。
バッドが空を切る音や芯を食った快音が河川敷に響くことはなく、鈍い音と共にボールは投手のグラブに吸い込まれる。
出塁という打者の仕事をバットと一緒に投げ捨て、てってってー、と緩い走りで一塁を目指した。当然、アウト。これで三打席連続の凡退だ。僕は一塁を目指していた時と同じペースで、ベンチに引き揚げていく。
まあ、こんなものか。
草野球を始めてまだ二カ月。経験者の球を簡単に打てるほど、野球道は甘くないということだ。
福岡県の片隅にある田舎町の、さらに片隅に位置する河川敷。ここでは最近、地元の高校生による草野球が密かなブームとなっていた。
娯楽施設の存在しない田舎町で青春を謳歌したいなら、一緒に野球やろうぜ! とは誰も言っていないけど、日常に蔓延る退屈を相手にするには丁度いいものだったのかもしれない。
雲に覆われた空を見上げながらベンチに戻り、誰からもねぎらいの言葉をかけられることなく腰を下ろす。
僕を打ち取った投手は「ツーアウトー」と、守備陣に大きくも小さくもない声を飛ばしていた。
「えっと、惜しかったな」
隣に座っていた野々村(ののむら)が話しかけてきた。
「ピッチャーゴロだけどね」
「あー、野球の基本はセンター返しだと誰かが言ってたし、やっぱり惜しかったんじゃないか?」
「そうかな」
「そもそも、当てれるだけ大したもんだって」
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