一話

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 耳障りな音が部屋中に広がり、私はソレに手を伸ばして音を止めた。 「目覚ましなんてかけたのは何年ぶりか」  私は真面目な人間になった気がした、多分気のせいだと思うけど。  ゆっくりとベットから降りて制服に着替えて、ダイニングに向かった。 「あら、ミカちゃん 今日は早いわねー」  歳のわりに声だけは若い女性が話しかけてきた。 「お母さん、ミカちゃんはやめてよね!今日から高校生なんだからさー」  私はほっぺたをふくらましながら高校生という単語を強調した。 「そうね、ミカ様」  様てなんだよ。  私はお母さんのボケが嫌いだ。 「じゃ学校行ってきます!」 「ミカ様は朝ごはんわ?」  ツッコミがないとしつこくボケてくる。  私は、聞こえてないフリをして、玄関のドアをあける。  すると、風が髪をなでるような気持ちの良い、そよ風がふいた。
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