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「とにかく、お前ら呼び方がウザいんだよな」
背もたれに体を預けながら魔女が言う。
至るところに赤い筋ができている王子三人と、カエル。
そして、何故か赤ずきんまでもが正座させられている。
「第一、『何々の王子』っていうのがめんどくさい」
「でも魔女さん。僕らに名前はありませんよ」
そうシンデレラの王子が言うと、いばら姫の王子が返した。
「シンデレラの王子はあるじゃないですか。『プリンス・チャーミング』って名前が」
「シャルル・ペローか」
「よくご存じですね」
魔女の台詞に、いばら姫の王子が感嘆の声をもらす。
「シャルル・ぺロー?」
白雪姫の王子が尋ねる。
「シンデレラを書いた作家ですよ」
「えっ?シンデレラってグリム童話じゃ……」
「確かにシンデレラで有名なのは、グリム兄弟だ。しかし、世間でよく語られるシンデレラはシャルル・ぺローの話だ」
魔女が簡単に説明し、いばら姫の王子が捕捉する。
「物語はもともと、口伝えで伝わっていた話をまとめた物語ですから」
「へぇー」
白雪姫の王子が納得したようにうなずく。
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