問題

2/9
前へ
/293ページ
次へ
「とにかく、お前ら呼び方がウザいんだよな」 背もたれに体を預けながら魔女が言う。 至るところに赤い筋ができている王子三人と、カエル。 そして、何故か赤ずきんまでもが正座させられている。 「第一、『何々の王子』っていうのがめんどくさい」 「でも魔女さん。僕らに名前はありませんよ」 そうシンデレラの王子が言うと、いばら姫の王子が返した。 「シンデレラの王子はあるじゃないですか。『プリンス・チャーミング』って名前が」 「シャルル・ペローか」 「よくご存じですね」 魔女の台詞に、いばら姫の王子が感嘆の声をもらす。 「シャルル・ぺロー?」 白雪姫の王子が尋ねる。 「シンデレラを書いた作家ですよ」 「えっ?シンデレラってグリム童話じゃ……」 「確かにシンデレラで有名なのは、グリム兄弟だ。しかし、世間でよく語られるシンデレラはシャルル・ぺローの話だ」 魔女が簡単に説明し、いばら姫の王子が捕捉する。 「物語はもともと、口伝えで伝わっていた話をまとめた物語ですから」 「へぇー」 白雪姫の王子が納得したようにうなずく。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

590人が本棚に入れています
本棚に追加