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魔女は正座する面々を見た。
「それで、お前らは一体何しに来たんだ?」
そう言って、長い足を組み換えた。
「っていうか何で揃って、同じ話に出てきてやがる」
「それは……わかりません。俺らも、どうしてこうなったのか」
イヴァンが申し訳なさそうに答える。
魔女は軽くため息をついた。
「まぁ、しょうがない。物語にハプニングは付き物だ。何とかしてやるよ」
「ありがとうございます!魔女さんは、優しいですね!」
イヴァンが笑顔でそう言うと、魔女は驚いた顔をした。
「――そんな台詞、初めて言われた」
「えっ?」
「……いや、何でもない」
魔女はそう言うと、椅子から立ち上がり、ハクを指差す。
「まず、お前」
「はい」
「お前は何しに来たんだ?」
「僕は……その……」
ハクはうつむいて、もじもじし出した。
しびれを切らして、魔女がテーブルを叩く。
「はっきり言え!」
「はっ、はい!僕、キスができないんです!」
「…………は?」
魔女だけじゃなく、その場にいる全員が不思議そうな顔をする。
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