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ハクはうつむきながらも話し出した。
「僕、白雪姫を目覚めさせるために、キっ……キス、をしないといけないんですけど!でも、初めて会った、しかも相手が眠っている間にするなんて……そんなのだめじゃないですか!そんな恥ずかしいこと――僕、できません!」
顔を真っ赤にしながらハクは話した。
興奮しているからか恥ずかしいからか、息が荒い。
そして話を聞いた面々は思った。『こいつどんだけピュアボーイなんだよ』と。
「……お前、馬鹿か」
相変わらず冷たい魔女のツッコミ。
それに対して大分ショックな顔をしている、ハク。
「王子は白雪姫にキスしない」
「…………へっ?」
ハクがすっとんきょうな声をあげる。
「王子の家来が、白雪姫の棺を運んでいる時につまずき、棺が揺れて林檎がのどから取れたから白雪姫は目を覚ます。キスをするのは映画なんかの演出だ」
「じゃあ、物語じゃキスしないんですね!」
「さっきからそう言ってるだろうが」
魔女が邪険に返すが、ハクは気にしていないようで、ほっとした顔で言う。
「よかった……僕、白雪姫にキスしないでいいんですね。ほっとしました」
「あぁ、そうかい」
魔女が興味なさげに言う。
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