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魔女はハクの顔を見た。
「……お前、話はそれだけか?」
「はい」
ハクはにこにこ微笑みながら返した。
魔女も文句を言うのをあきらめた。純粋すぎる人間を相手にするのも疲れる。
「んじゃ、今度は――」
その時、勢いよく扉が開いた。
「邪魔するぞ!」
「邪魔するんだったら帰って」
「はいよ。――ってちょっと待てー!」
おじいさんが大声で乗りツッコミする。
入ってきたのは、二人。
一人は白髪頭で、すっかり腰の曲がった、漁師風の老人。
もう一人は、豪華な着物をはだけさせて着た、色気満点の女性。
彼女は王子三人が自分を見ているとわかると、妖艶に微笑んだ。
その笑顔に男だけじゃなく、女までもドキリとする。
「ここは魔女のうちか?」
「だったら何?」
老人の言葉に魔女が返す。
「わしを元に戻せ!それがだめなら、こいつも老人にしてくれ!」
そう言って、着物の女を指差す。
魔女は眉をひそめた。
「はぁ?意味がわからない」
「うるさいわい!とにかくなんとかしろい!」
「うるさいじいさんね」
「じいさん言うな!わしは浦島太郎じゃ!」
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