小屋

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森の中に、パカッパカッと蹄の音が響く。 白馬に跨がった王子は、うっそうと茂る森の中を進んでいた。 彼は『いばら姫』の王子。これから、いばら姫に会いに行くところなのだ。 しかし困ったことに、王子は深い森の中で道に迷ってしまったのだ。 城の場所を教えてくれた老人は、もういない。 王子は途方に暮れ、キョロキョロと辺りを見渡した。 すると、彼の目の前に小さな板造り小屋が見えてきた。 王子は幸いとばかりに、小屋のそばに馬を繋ぎ、玄関に回る。 玄関の横にある窓から灯りが漏れている。誰かいるようだ。 王子はドアをノックした。 「すみません。どなたかいませんか?」 しばらく耳を澄ますけれど、返事がない。 王子は再びノックをした。 すると今度は返事はなかったが、中から声が聞こえた。 王子は、おそるおそるドアノブを回す。 すると……魔女がカエルをムチで叩いていた。
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