小屋

3/9
前へ
/293ページ
次へ
「この薄汚れたカエルがぁ!」 「ひぃ!ごめんなさい、魔女さん!」 魔女がムチを叩く音が大きく響き、カエルはますます体を縮こませる。 「居候のくせに何してやがんだぁ!」 「すみません!でも、あれはオイラじゃ――」 「いい訳するなぁ!」 「ギャーッ!!」 カエルの悲痛な叫びが、こだまする。 「あ、あの……」 「あぁん!?」 王子の声に魔女が振り返る。 魔女というより、女王様といった出で立ちだ。 ボンテージ服に、ニーハイブーツとムチ。黒髪のロングヘアーに、つり上がった目元。 壁にかかった杖だけが、彼女を魔女だと教えてくれる。 「あの、そんなにいじめなくても……」 王子は赤いベストを着たカエルを見た。 カエルの身長はもともと人間の半分ほどしかなく、魔女に怒鳴られたせいかますます小さくなっている。 そんなカエルが可哀想で仕方がないのだ。 「他人は黙ってろ!」 「ひっ!」 間髪入れずにムチが音を立てる。その隙に、カエルは奥の部屋に逃げようとした。 「おい、カエル」 カエルの背中がびくっと跳ねる。 魔女はにやりと笑った。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

590人が本棚に入れています
本棚に追加