小屋

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「……そうかい。じゃあ赤ずきん」 そう言って、魔女は赤ずきんにバスケットを差し出した。 中にはケーキやワインが入っている。 「これを持っておばあさんのところに行きな。日が暮れる前に」 「……ありがとうございます!」 そう言うと赤ずきんは玄関へ歩く。 すると、彼女がドアを開ける前に扉が開く。 「魔女さんー、助けてくださいー」 そう言って男が泣きながら入ってきた。 頭には王冠をかぶり、きれいな洋服を着ている。 「シンデレラが見つからないんですー。ガラスの靴をなくしてしまって、もうどうしたらいいでしょうかー」 「うるさい。汚い顔して騒ぐな」 魔女が泣きはらした顔をした王子に言う。 すると、また違う人物が現れた。 「あの、ここは魔女さんの家でよろしいでしょうか?」 羽のついた帽子を取りながら、男はおずおずと言った。 「貴方は?」 いばら姫の王子が尋ねる。 「僕は、白雪姫の王子です。あの、魔女さんにご相談したいことがあって……」
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