序章

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 朝の学校では皆が友達と思い思いに会話を楽しんでいる。  そんな中、僕は自分の席に1人でいる。…人とコミュニケーションを取るのが怖いのだ。  小学生の時、僕は同級生から虐めにあった。  …学校に行くのが怖かった……毎日が苦痛だった。  それが理由で一度、僕は転校した。転校したての時はまだ学校が怖かったが、中学に上がると、少し落ち着いてきた。だが、人に話しかけられると体が竦んでしまう。そんな僕を相手にしてくれる人など1人もいなかった。  そして、僕はそのまま高校に上がった。そこには僕のことを気遣って話しかけてくれた人もいた。だが、僕は彼らに言ってしまった。 「僕に構わないでよ」 と。震えながら。  それから、彼らは僕に気を掛け、ことらえお見る事はあっても、話しかけて来ることはなかった。  死のうと思ったことも何度かあった。だけど、屋上の端に立ったり、カッターナイフを宛がったりすると、死ぬのが怖くなって体が竦んでしまう。  結局、僕は現実に立ち向かう事も、死へと逃避することも出来ないのだ。…僕は弱虫だから。  ご飯を食べて、勉強して、適当に時間を潰すだけの毎日。とてもつまらない。今日もそんな1日を終え、眠りにつく。  だが、そんな僕にも居場所がある。 「おはよ〜」  背後ろから女の子が話しかけてきた。 「おはよう満希(みき)」  ここは僕の夢の中。この子は僕の彼女だ。  そう、あれは1ヶ月ほど前の事だった。
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