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「ずっと好きでした。私と付き合ってください」
今、僕の目の前に女の子が立っている。歳は僕と同じくらいだろうか。髪は漆黒のストレートで肩下15cm位のロング、小柄な体をしたその女の子が僕にそう言った。
「え…?」
僕はと言うと、いきなりの出来事に思わず呆けてしまう。
「駄目・・かな?」
彼女は悲しい表情をして言った。
「い、いや そんなことは…」
気が付くと、僕はそう答えていた。なぜだろう…僕は彼女に対する恐怖感は無かった。むしろ、愛しささえ感じた。
「ほんと?」
「うん…」
僕は暫く他人と話をしていなかったので、こんな簡単な返事しか返せなかったが、返事をすると、彼女は、僕に抱きついてきた。その彼女の行き成りの行為にかなり戸惑った。
暫くして、彼女が僕の体から離れるが、僕の心拍数は上昇したままだ。
少しずつ落ち着きを取り戻していくと、僕はある事に気付いたのだ。
「そういえば、まだお互い名前を聞いてなかったよね?」
そう尋ねると、綻んでいた彼女は打って変わって寂しげな顔になった。
「…そうよね、やっぱり覚えてないよね…」
そして、表情通りの感情が乗った呟きが漏れた。。
「え?いつか会ったことあるっけ?」
僕は慌てて記憶を探ってみる。
「ううん、何でもないの。気にしないで」
そうは言いつつも、やっぱり彼女の顔は寂しそうだった。
「私は小野寺(おのでら) 満希(みき)。順番がごっちゃになっちゃったけど、よろしくね」
目の前の少女は再び表情に笑みを浮かべ、
「僕は小林(こばやし) 茂幸(しげゆき)。よろしく」
自己紹介を終えると満希は、
「それじゃあ、遊びに行こうよっ」
と言って僕の返事を聞かずに 僕の手を引いて歩き出した。僕は彼女のまにまに歩く。
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