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父上に一度 彼に会いに行くといい、と紹介を受けた。 彼、というのは 父上の御友人でありながら 切れ者で立派な方と聞いた。 話には聞いてはいたが 実際にお会いしたのは 聞いていた頃から もう、だいぶ時は経ていた。 都会を離れた農村に 彼の住処を見つけ 少し声を張り 彼の名を呼ぶ。 彼はすぐに応答した。 土壁に設けられた戸は 滑らかには開かず 突っかかりを強引に開けようやく彼の顔を拝見する。
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