夢想小説 第二夜

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夢想小説 第二夜

「あれ?」 見知らぬドアを前に呟く男に 「ダイジョブ? ココガ オススメダヨ」 キョトンとする男に店主は、勧める部屋まで連れてきたと説明した そうだったような・・・ 少しボーっとしてたのかも・・・ そんな男を横目に、店主はお構いなしに部屋の鍵を開けサッサと入って行ってしまった 男は慌てて閉まりそうな扉を手で抑え、店主の後に続いた 中に入って驚いた 「スゲー」 思わず口にする 男が驚くのも無理はない しがないフリーターの男が住むには広く、立派な部屋だった 「これは無理だよ」 呟く男に 「ダイジョブダイジョブ」 軽く店主が応える 聞くとこの部屋は貸し主が住む予定だったのだが、訳あって住めなくなったのだとか どうりで家具も一通りそろっている 独り暮らしの部屋というより、ファミリー向けの部屋だ 風呂、トイレの他に部屋が3つもあり、家具も自由に使っていいらしい まさに破格の家賃だ ただ一つだけ条件があって、貸し主がこの部屋を処分したくなったら売りに出すらしい 店主は笑いながら 「ダイジョブダイジョブ ソノトキハ アナタ イチバン二 カエルネ」 大丈夫ではない どう見ても買えるような値段ではないだろう しかしすでに部屋を気に入っていた男は、少しでも住めるなら構わないと返事した 一応店主も一年は住めると保証してくれた 家に帰る途中、何だか少し怪しい気が・・・ なんて考えも頭を過ったが、家で荷物をまとめているうちに気にしなくなっていた こうして男の新しい部屋での生活が始まるのだった
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