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夢想小説 第三夜
引っ越し当日
狭いアパートでの独り暮らしだったわりには、予想より荷物が多く、まとめるのに時間がかかった
荷物を積めた段ボール箱や数少ない電化製品を、依頼してあった引っ越し業者がテキパキと運んで行く
新居に着き、荷物を運ぶのを手伝おうとしたが、仕事の邪魔になるのだろう
丁重に断られ、隅で見ている事に
あっという間に運び込みが終わり、引っ越し業者に一礼して見送ると部屋に戻った
新しく綺麗な部屋の真ん中に、運び込まれた荷物がまとめて置いてある
こうして見ると、前のアパートとの広さの違いが改めて分かる
貸し主の置いていった家具が無ければ、生活感の無い部屋になっていただろう事は容易に想像がついた
荷物の片付けもそこそこに、引っ越しの疲れからかその日は早々に眠りに就く
翌日、目が覚めて新居の余韻に浸る間も無く仕事に出る
いつもの人達といつもの仕事
代わり映えの無いいつもの生活に、今日は変化がある
帰る部屋が違うのだ
仕事が終わり、いつもと違う方向に歩き出す
違う風景を見ながら帰路についた
近くのコンビニで弁当を買い部屋に帰ると、残っていた荷物を部屋の隅に寄せ、温めた弁当も置き去りにして部屋を見て回る
なんせ今までは、ワンルームでの生活、居たその部屋しかなかったのだ
しかし今は別に2部屋もある
「リビングに寝室に・・・物置か?」
何て一人言を言いながら部屋を行ったり来たり
浮かれていたのだ
そして気が付く
部屋にある押し入れを開けてないことに
収納もこんなにあるなんて
喜びながら戸を開けみる・・・広い!
「ここでも充分に寝れるな」なんて呟きながら横になってみる
続いて奥の部屋にある押し入れの戸を開けてみる・・・ん?
そこには段ボール箱が2つ置いてあった
何だろう?
男は開けてみることに
中には女性物の洋服やカバン、小物が入っていた
「大家さんの忘れ物かな?」
部屋には家具やら食器やら、貸し主の置いて行った物が沢山ある
だからだろうか、置いてあった荷物に大して抵抗は無かった
「明日不動産屋に連絡しておこう」
蓋を閉め、段ボール箱を元有った場所に返した
それから少ししてからだった
部屋に違和感を感じ始めたのは・・・
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