212人が本棚に入れています
本棚に追加
Yシャツ・ネクタイ(赤)に着替えた祐司がリビングに入ると、ブラウス・リボン(赤)にピンクのエプロンを身に付けた由美が鼻歌を歌いながら準備をしていた。祐司は不覚にも可愛いと思ってしまった。『不覚にも』だ。ちなみに由美が鼻歌で歌っていたのは、某動画サイトで有名になっあ水色ツインテールのネギを持った某歌姫の一番再生回数が多い歌だ。
「随分とノリノリだな」
「うんっ」
祐司がフックに掛けてあるエプロンを身に付けていると、由美は食器棚から何やら茶色い小さな瓶を取り出している。
「メッロメロにし~てやんよ~♪」
「ちょっと待て。何だその瓶? それと勝手に替え歌作るな」
「え、えっと~…あっ」
明らかに何かありそうな困った表情になる由美を余所に祐司は由美の右手からすかさず謎の瓶を奪い取り、睨むようにして凝視する。
…瓶には、円形で緑のシールにマジックペンで『回復薬』と書かれていた。
「…RPGかっ!」
「い…いや…あぅ…」
祐司は食器棚に目をやり、食器棚を開けて皿やらガラスコップを避けて中を探索すると、同じような瓶が更に数本ほど見つかった。瓶には『鬼人薬』、『強走剤』、『増強剤』、『捕獲用麻酔薬』…etc.と書かれている。
「モン◯ンかっ!」
「てへっ♪」
「『てへっ♪』じゃねぇよっ! そんな妹を許せるのはパソコンの前でディスプレイに背景・文字・キャラが出てくるゲームのユーザーである全国の主人公かつお兄ちゃんぐらいだよ!」
「でも祐司もその手のゲーム好きじゃん」
「俺は“ロリ”なの! “幼女”なの! “妹”属性はない!」
「え…。じゃあ祐司はあたしの事嫌いなの…?」
「ちょ!? 何で泣きそうになる!? 確かに“妹”としては妹に見えないし、同い年にしちゃ妹に見えるし…あー! ったく、世話のかかるっ」
少し自暴自棄になった祐司は軽く由美を抱き寄せ頭を撫でる。世話のかかる妹を持つと苦労する。しかし、放っておけないのだから仕方ない。これでも立派な妹だ。
最初のコメントを投稿しよう!